2024年02月03日
VFC M249 GBBのランニングコストのおはなし
運用とそれにかかるコストの検討
筆者のM249。スコープとサイレンサーを装備している。
1.はじめに
本記事はVFC製のM249GBBを運用する際にかかるランニングコストについて、グリーンガスとマルイ製BB弾を用いて運用した場合と変換アダプタ―を用いて汎用CO2ボンベと廉価版BB弾を用いた場合で生じるランニングコストの差異を確かめた。結果として、初期投資の大きい後者の方法は、使用回数が増えれば触れるほどランニングコストにおいて有意性が生じ、赤字を脱するのは2000発程度発射したときであった。ただし、物価は水ものであり、参考程度の域を出ない。
2.実験機器/環境について
使用したのは以下のエアガン、器具である。
・VFC M249 GBB 初期ロット
・ポリウレタン樹脂製エアチューブ
・チューブコネクタ(ワンタッチ継手)
・サンプロジェクト製グリーンガスレギュレータSP15000-1R
・変換アダプタ
M249については、フィールドストリッピングの範囲で分解し、グリースを再塗布している。ストックのピンが異様に硬かったこと以外は顕著な問題点はなかった。グリーンガス、圧縮空気等で1000発程度試射した状態から実験を開始した。
コネクタはHPA規格からJIS規格へ変換するアダプタを使用している。
サンプロジェクト製レギュレータ以外のレギュレータは用いていない。また、レギュレータとアダプタの締結については、シーリングテープがどっかいっちゃったので、適当にリチウム系グリースを塗布し、レンチで締結している。
3.実験方法について
M249に接続して、断続的に連射することで発射可能な回数を計測する。3~8発程度の連射ののち、1秒程度間を挟んでまた連射することを繰り返した。CO2ボンベは、気化と断熱膨張による冷却が発生するため、ズボンのポケットに突っ込んで「少しヒヤッとすんな」程度に温め続けた。また、連射によって過度に冷えた場合は前記した程度の暖かさになるまで待機した。時期は2月初旬だが、室内は15度程度だったと思う。
ただし、実験の手順に不手際があった。本来ボンベを締結する際は手際よく時間をかけず適切なトルクになるまで回して締結する必要があるが、日和ってしまい大量のガスがガス抜き穴から噴射した。これによって筆者は持っていた手の一部に軽い凍傷を負った。参考にされる方は、万が一に備える意味で素手を避けてこの操作を行ってほしい。また、主観的には適切に締結を行っていたはずであるにもかかわらず起こった事故であり、原因がわかっていない。締結のコツを教えてほしい。
4.実験結果
実験の結果、ボンベ一本あたり350発は撃つことができた。先述した不手際があるが、そもそもフィールドで実際に使う際はもっと冷えることや、季節による差異を考慮すると簡単に示せなくなるため、今回は無視する。実験、集計によって得た表を以下に示す。
表を見たらわかる通り、純正のグリーンガスは非常に高い。それに比べ、近年ではテトラや15gなど様々な規格のボンベを使うことが検討されているが、実験を行った昨今ではアサヒ製の食品用CO2カートリッジが一番単位質量あたりの値段が安かった。これより導かれる発射回数とランニングコストの関係は以下の図のようになる。
これを見ると、アダプタを購入したので、y切片では代用品の方がコストが高くなっているが、1発あたりのコストが小さいため撃てば撃つほど純正の場合とのコストの差が縮まり、2332発撃ったところで損益分岐点を迎える。よって、2500発程度撃てば十分アダプタのコストをペイすることができる。
5.今後の展望
本実験によって、アダプタを買ったことによる経済的優位性がどの程度のものであるのかということが確認できた。しかし、そのコストは2300発程度ですでに約9000円ものランニングコストがかかっていることも示している。図にあるように、電動ガンは弾のみを消費するため、圧倒的にランニングコストが低い。この状況を打開するためには、まずはボンベの締結時に発生するガス漏れによる損失を減らすことが喫緊の課題である。次にこれを根本的に解決する方法として、圧縮空気の利用があげられる。これは電気代を考えてもほとんど無視してよいコストであり、今後はこちらの利用を積極的に検討すべきである。しかし、信頼性不足や専門知識を要すること、これを持ち込み禁止としているフィールドが多いことや安全設計等の課題が多い。個人的には、これら課題を総合的に俯瞰すると、フィールドが外部ソースを禁止する判断も合理的だと感ぜざる負えない。これら課題は技術的なものであり、この分野の発展がフィールドでの外部ソース受け入れの足掛けになるのではないだろうか。